出典:デジタル庁 ウェブサイト ウェブアクセシビリティ導入ガイドブックより(参照日2023-6-6)
https://www.digital.go.jp/resources/introduction-to-web-accessibility-guidebook
デジタル庁では「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を実現するため、継続的に「ウェブアクセシビリティ」の向上に取り組んでいます。この度、ウェブアクセシビリティに初めて取り組む行政官の方や事業者向けに、ウェブアクセシビリティの考え方、取り組み方のポイントを解説する、ゼロから学ぶ初心者向けのガイドブックを公開します。
デジタル庁/ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック より
ウェブアクセシビリティについての2回目です。初めての方は1回目も合わせて読んでほしいです。
ウェブアクセシビリティで達成すべきこと
ウェブアクセシビリティには優先するべき順位(レベル)あります。
- 【S】「達成しないと利用者に重大な悪影響を及ぼすもの」 ←今回はここのお話
- 【A】「必ず達成しなければならないもの」
- 【B】「状況に応じて確認すべきこと」
- 【C】「よく検討して導入すべきこと」
具体的にどんなことが優先されるのか、順番に見ていきましょう。
非干渉の達成基準
どんなサービスやコンテンツを公開する場合であっても、
これだけは必ず達成する必要がある達成基準があります。
実現できていない場合は、利用者がウェブページやウェブサイト内を移動したり、
コンテンツを理解したりすることが極めて難しくなります。
また、利用者を発作の危険性にさらしてしまう可能性があります。
※『規格:JISX8341-3:2016』の中で、必ず達成しなければならないものに
「利用者がウェブページの他の部分へアクセスすることを妨げていない」状態である
という、ややこしい言い回しがあります。これは、選択肢を狭めてはダメという意味で
「非干渉」という言葉が使われているんだと思います。(個人の感想)
「達成しないと利用者に重大な悪影響を及ぼすも」は 4つです
- 音声などを自動再生させない
- 袋小路に陥らせない
- 光の点滅は危険
- 自動でコンテンツを切り替えない
音声などを自動再生させない(音の制御)
音声を自動再生することや強制的に再生させることは避けましょう。また、自動再生する音声は 3秒以内に収めましょう。自動再生が 3秒以上続く場合は利用者が止められるようにする必要があります。
デジタル庁/ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック より
理由と回避方法
音楽や音声などが突然再生されるページや動画広告などを自動再生するのは、
利用者にとって必ずしも有益とはならず、場合によっては周囲への迷惑だけでなく
利用者への発作を誘発させるなどの危険な場合もあります。
ですので、回避方法として、一時停止または、ミュートボタンを必ずつけましょう。
袋小路に陥らせない(キーボードトラップ)
キーボード操作だけで利用しているときに、一度フォーカスしたら抜け出せないコンテンツを作らないようにしましょう。たとえばモーダルダイアログのようなフォーカスを制限するコンテンツで起きやすいです。
デジタル庁/ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック より
理由と回避方法
サイトを閲覧している利用者が必ずしもマウスやタッチパッドを使っているとは限りません。
場合によっては、キーボードのみで操作している利用者もいます。
別窓やモーダルウィンドウなどでエリア指定されキーボードでの操作が難しいページは
進むことができず袋小路になってしまいます。
ですので、回避方法として、
ダイアログ内にフォーカス可能な閉じるボタンを置くことで、キーボードで閉じられるようにする。
光の点滅は危険(光の閃光)
光の点滅を繰り返すと、光感受性発作等を誘発しやすくなります。1秒に3回以上点滅するコンテンツを作ってはいけません。(これは適合レベルAAA達成基準2.3.2の説明ですが、非干渉の達成基準2.3.1は適合判断が難しいため、達成基準2.3.2に適合させることを推奨します)
デジタル庁/ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック より
理由と回避方法
テレビでも問題になりました光の点滅についてです。
激しいフラッシュ、点滅により体調に影響を与え、場合によっては発作を誘発しやすくなります。
ですので、回避方法として、
アニメーションや映像などのコンテンツで、【1秒に3回以上点滅させない】を必ず守りましょう。
自動でコンテンツを切り替えない
スライドショーや自動で切り替わるコンテンツなどがある場合は、一時停止、非表示、停止の機能を設置する必要があります。画面上に動き続けるコンテンツがあると、他の箇所の操作や閲覧を妨げられる利用者がいるためです。
デジタル庁/ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック より
理由と回避方法
意図せずに、自動で切り替わってしまうコンテンツは利用者が情報を確認しているにもかかわらず
短時間で切り替わってしまうなど、情報の閲覧を妨げられる場合があるからです。
ですので、回避方法として、
自動で切り替わるカルーセルなどは、一時停止などができる操作性を持たせる必要があります。
次回、第三回【必ず達成しなければならないもの】です。